洗濯機の構造から考える臭いの仕組み
洗濯機から漂う嫌な臭いの原因を探る上で、洗濯機の基本的な構造を理解しておくと、なぜ臭いが発生しやすいのか、どこに汚れが溜まりやすいのかが見えてきます。洗濯機には大きく分けて、洗濯槽が縦に回転する「縦型洗濯機」と、横(斜め)に回転する「ドラム式洗濯機」がありますが、どちらのタイプも、見えない部分にカビや汚れが蓄積しやすい構造を持っています。洗濯機の心臓部である洗濯槽は、通常、内槽(実際に洗濯物を入れる穴の開いた槽)と外槽(内槽を覆い、水を溜める槽)の二重構造になっています。この内槽と外槽の間は、洗濯やすすぎの際に水や洗剤、そして衣類から出た汚れが行き来する空間ですが、同時に非常に湿気がこもりやすく、カビが発生しやすいデッドスペースでもあります。洗濯槽クリーナーを使った時に剥がれ落ちてくる黒いピロピロとした汚れの多くは、この洗濯槽の裏側(外槽の内壁や内槽の外壁)に付着したカビなのです。カビは、湿度、温度、そして栄養(洗剤カス、皮脂汚れなど)の三つの条件が揃うと繁殖します。洗濯機の中は、洗濯による水分で湿度が高く、モーターの熱や季節によっては温度も適度になり、さらに洗剤の溶け残りや衣類の汚れといった栄養分も豊富にあるため、まさにカビにとっては理想的な環境と言えます。特に、洗剤や柔軟剤を規定量以上に入れてしまうと、溶け残った成分が洗濯槽の裏側や底に付着し、カビの格好の餌となってしまいます。また、洗濯槽の底にあるパルセーター(縦型洗濯機の場合)や、ドラムの裏側、あるいはドアパッキンの溝(ドラム式洗濯機の場合)なども、汚れが溜まりやすくカビが発生しやすい箇所です。さらに、洗濯槽から排水口へとつながる排水ホースも、常に湿っており、洗剤カスや糸くずなどが流れ込むため、内部にヘドロ状の汚れが付着しやすく、悪臭の原因となります。このように、洗濯機はその構造上、どうしても汚れや湿気が溜まりやすく、臭いが発生しやすい環境にあります。だからこそ、定期的な掃除と、日々の正しい使い方が重要になってくるのです。