最近のトイレはボールタップと浮きが一体型になっているものが多いですが、築年数の経ったお宅などでは、まだ昔ながらの浮き球が長いアーム(棒)の先についているタイプのボールタップが使われていることもあります。この古いタイプの浮き玉調整は、新しいタイプとは少し勝手が異なりますが、仕組みはシンプルです。もし、ご自宅のトイレがこのタイプで、水位に問題がある場合は、以下の手順で調整を試みることができます。まず、他のタイプと同様に、作業前には必ず止水栓を閉め、タンクの蓋を開けてください。タンクの中を見ると、プラスチック製や銅製の浮き球が、金属製またはプラスチック製のアームにつながっているのが確認できるはずです。このアームの角度を変えることで、浮き球が上下する位置、つまりタンク内の水位を調整します。具体的には、タンク内の水位を下げたい場合は、浮き球が低い位置で給水が止まるように、アームをゆっくりと下方向に曲げます。逆に、水位を上げたい場合は、アームを上方向に曲げます。調整する際のポイントは、「アームの根元に近い部分を支点にする」ことです。ボールタップ本体に近い部分をしっかりと持ち、もう一方の手でアーム全体をゆっくりと曲げるように力を加えます。アームの途中や先端だけを無理に曲げようとすると、アームが折れたり、根元の接続部分が破損したりする危険性が高まります。特に古い金属製のアームは、劣化してもろくなっている可能性もあるため、細心の注意が必要です。力を入れすぎず、少しずつ曲げては水位を確認する、という作業を繰り返しましょう。調整後は、止水栓を開けて水を溜め、オーバーフロー管の標準水位線と比較して、適切な水位になっているかを確認します。数回水を流してみて、安定して同じ水位で止まるかも確認してください。もし、アームを調整しても水位が変わらない、あるいはアームや浮き球自体が破損している、ボールタップ本体から水漏れしている、といった場合は、部品の寿命と考えられます。この場合は、無理に調整を続けず、ボールタップ全体の交換が必要になる可能性が高いので、専門の水道修理業者に相談することをおすすめします。