事例研究繰り返すトイレつまりの裏側

一見すると同じように見えるトイレのつまりでも、その原因は様々であり、特に繰り返すつまりには、単純な使い方の問題だけではない、隠れた原因が潜んでいることがあります。ここでは、実際にあった二つの事例を通して、繰り返すトイレつまりの裏側を探ってみましょう。事例１：Aさん宅のケース。Aさん宅では、ここ数ヶ月、頻繁にトイレが詰まるようになりました。その都度、ご主人がラバーカップで対応していましたが、すぐに再発するため、ついに専門業者に調査を依頼しました。業者がヒアリングを行う中で、小学生の息子さんが以前、小さなおもちゃをトイレに落として流してしまったことがある、という事実が判明しました。しかし、その時は特に問題なく流れたため、家族はすっかり忘れていたのです。管内カメラで調査したところ、排水管の奥の曲がり角に、そのおもちゃの一部が引っかかっているのが発見されました。この小さな異物が、トイレットペーパーなどを引っ掛け、断続的な詰まりを引き起こしていたのです。異物を除去したことで、その後つまりは再発しなくなりました。この事例からわかるのは、過去に流してしまった異物が、時間差で問題を引き起こす可能性があるということです。事例２：Bアパートのケース。築３０年のBアパートでは、特定の部屋（１階の角部屋）で、入居者が変わるたびにトイレのつまりが頻発するという問題がありました。管理会社は、その都度業者を手配して詰まりを解消していましたが、根本的な原因がわからず困っていました。ある時、経験豊富な業者が、建物全体の排水管の構造に問題がある可能性を指摘。調査の結果、その部屋につながる排水管の勾配が、経年劣化による地盤沈下の影響で緩くなっており、排泄物がスムーズに流れにくい状態になっていることが判明しました。勾配不良により、排水管内に汚れが蓄積しやすく、頻繁な詰まりを引き起こしていたのです。解決策として、排水管の一部を掘り起こし、勾配を修正する比較的大規模な工事が行われました。これにより、長年の問題はようやく解決しました。この事例は、建物の構造や経年劣化が、繰り返すトイレつまりの原因となりうることを示しています。これらの事例のように、繰り返すトイレつまりには、表面的な現象だけでは分からない原因が隠れていることがあります。根本的な解決のためには、専門家による詳細な調査が不可欠となる場合があるのです。