今回は、住宅設備メーカーで長年洗面台の開発・設計に携わってきた専門家のAさんに、水はねしにくい洗面台選びのポイントについてお話を伺いました。リフォームや新築で洗面台を選ぶ際の参考にしてください。「洗面台の水はねにお悩みの方は本当に多いですね。デザイン性を重視して選んだ結果、使い始めてから水はねに悩まされるというケースは後を絶ちません。水はねのしにくさを重視する場合、いくつかのポイントがあります」とAさんは語ります。まず注目すべきは「洗面ボウルの形状と深さ」だそうです。「一般的に、深さがあるボウルほど水はねしにくい傾向があります。水の落下エネルギーを受け止め、飛び散りを抑える効果があるからです。理想としては、深さが15センチ以上あると安心でしょう。また、ボウルの底の形状も重要です。底面が平らだと水が当たった時に真上に跳ね返りやすいので、底面が丸みを帯びている形状の方が、水をスムーズに排水口へと導き、はね返りを抑えることができます」次に、「蛇口(水栓金具)との組み合わせ」も非常に重要だとAさんは指摘します。「どんなに水はねしにくいボウルを選んでも、蛇口との相性が悪いと効果は半減します。重要なのは、蛇口の高さと吐水口の位置です。ボウルの底面までの距離が長すぎると水はねしやすくなるため、適切な高さの蛇口を選ぶことが大切です。また、吐水口がボウルの中央付近にくるように、スパウト(蛇口の首部分)の長さや角度も考慮する必要があります。最近では、ボウルと蛇口がセットで設計・販売されている製品も多く、これらは水はね性能が考慮されていることが多いのでおすすめです」さらに、Aさんは「蛇口の機能」にも着目すべきだと言います。「水の出方を工夫することで、水はねを軽減する機能を持つ蛇口も増えています。例えば、水に空気を含ませて泡沫状にする泡沫水栓は、水の当たりが柔らかくなり、水はねを抑える効果があります。また、シャワーヘッドを引き出して使えるタイプの蛇口は、ボウル内の掃除がしやすいだけでなく、低い位置で手や物を洗うことができるため、水はね防止にも役立ちます」最後にAさんは、「ショールームなどで実際に水を出してみて、水はねの具合を確認するのが一番確実です。デザインだけでなく、ぜひ使い勝手や水はねのしにくさもチェックして、ご自身の使い方に合った洗面台を選んでください」とアドバイスしてくれました。
水はねしにくい洗面台プロの選び方