あれは忘れもしない、一年で最も冷え込むと言われる時期の夜でした。仕事から帰宅し、冷え切った体を温めようと、いつものように浴室へ向かいました。湯船にお湯を張る前に、まずはシャワーで軽く体を洗い流そうと蛇口をひねったのですが、いくら待っても出てくるのは氷のように冷たい水ばかり。最初は「給湯器のスイッチを入れ忘れたかな?」と軽く考え、リビングに戻ってリモコンを確認しましたが、電源は確かに入っています。エラー表示もありません。しかし、何度シャワーの蛇口を操作しても、お湯の気配は全く感じられないのです。キッチンや洗面所の蛇口も試してみましたが、結果は同じ。全ての蛇口からお湯が出ないということは、明らかに給湯器本体のトラブルだろうと察しがつきました。外は雪がちらつくほどの寒さで、給湯器が設置されているベランダに出て確認するのも億劫でしたが、背に腹は代えられません。懐中電灯を片手に給湯器を見てみましたが、特に異常は見当たらず、素人の私には何が原因なのか皆目見当もつきませんでした。その日はもう夜も遅く、業者に連絡することもできません。結局、その夜は震えながら冷水で何とか体を洗い、湯船に浸かることもできず、布団に潜り込みました。翌朝一番でガス会社に連絡し、事情を説明すると、幸いにもその日のうちに見に来てくれることになりました。点検の結果、原因は給湯器内部の経年劣化した部品の故障とのこと。部品交換で無事にお湯が出るようになり、心底ホッとしましたが、お湯の有り難みをこれほど痛感したことはありませんでした。普段当たり前のように使っているお湯も、機械の正常な働きがあってこそなのだと、身をもって知った出来事です。この経験以来、給湯器の定期的なメンテナンスの重要性を感じるようになり、少しでも異常を感じたら早めに専門家に見てもらうように心がけています。あんな凍える夜は、もう二度と経験したくありません。
シャワーから湯が出ない凍えた一夜