給水音の鍵を握る電磁弁の話
洗濯機の給水時に聞こえる「カチッ」という小さな音。これは、水の流れを制御している「電磁弁(給水弁)」が作動する音です。普段はあまり気にならないこの部品ですが、実は洗濯機の給水音の大きさや異音の発生に深く関わっています。今回は、この電磁弁の仕組みと、トラブルについて少し詳しく見ていきましょう。電磁弁は、その名の通り、電気の力で弁を開閉させる部品です。洗濯機のスタートボタンが押され、給水が必要になると、制御基板から電磁弁に電気が送られます。すると、内部の電磁石(ソレノイド)が作動し、弁を開いて水道からの水を洗濯槽へ流し込みます。設定された水位に達すると、電気信号が止まり、弁が閉じて給水が停止します。この一連の動作を、洗濯とすすぎの工程で繰り返しているのです。この電磁弁は、長年使用していると経年劣化が進みます。内部のパッキンが硬くなったり、弁の動きが悪くなったり、あるいは内部に水道水中のミネラル分やゴミが付着したりすることがあります。そうなると、弁が完全に閉まりきらずに水漏れ(ポタポインタラブル)を起こしたり、逆にスムーズに開かなくなったりすることがあります。そして、これが異音の原因にもなるのです。例えば、「ブーン」といううなり音は、電磁石が正常に作動していない、あるいは弁が固着しかけている可能性があります。「キーン」という甲高い音は、弁の隙間を水が通過する際に発生しているのかもしれません。また、弁の開閉動作自体が鈍くなり、「ガッコン」といった大きな作動音が出るようになることもあります。電磁弁の不具合が疑われる場合、残念ながら自分で修理するのは困難です。内部構造が複雑であり、下手に分解すると水漏れなどのリスクが高まります。電磁弁の交換には、専門的な知識と技術が必要です。もし、給水時に上記のような異音が続く、あるいは水漏れが発生している場合は、電磁弁の故障を疑い、早めに洗濯機メーカーのサポートセンターや、信頼できる家電修理業者に点検・修理を依頼することをお勧めします。電磁弁は洗濯機の重要な部品の一つであり、その状態が給水音や給水性能に大きく影響しているのです。